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その時代に求められるスタイルに柔軟に対応しながら、引く手あまたとなっている職人技はなぜ、人々の心をつかむことができるのでしょうか? 生活雑貨を見続けてきた山田 遊さんに、手仕事が持つ「不要不急の豊かさ」についてお話を伺います。 やまだゆう◯イデーショップのバイヤーを経て、2007年、method(メソッド)を立ち上げ、フリーランスのバイヤーに。各種コンペティションの審査員や、教育機関や産地での講演など、多彩な活動を続けている。 「日々使うものでなく、飾るだけで心が豊かになる、不要不急のものが売れる傾向があります。昨夏は、換気の大切さから、風鈴がよく売れたと聞きます」。 移動がはばかられる状態が続くなかで、「旅した気分」も大切です。ものを手にすることで、なかなか行けない土地を旅した気分になってもらうのも大事とか。 「やきものは、地域性が強い手仕事。今年も各地で陶器市が中止になったり、開催したとしても従来通りの集客は見込めません。人が集まる魅力ある産地で、遠ければ遠いほど旅心をそそります」と山田さん。 SDGsの流れを受けて、「天然素材へのこだわり」がもっと問われていく、と山田さん。「例えば、秋田の曲げわっぱも、木地に撥水性を加えるため透明のウレタン加工をしたものがありますが、本来の木地の機能を奪っているところもある。それでいいのか?を問う。天然素材にこだわる意味を強調することは、意識の高いユーザーに響くと思います」